文楽9月公演

    国立小劇場の文楽9月公演に行ってきました。
    昼の部は、「生写朝顔日記」、夜の部は「玉藻前曦袂」。
    男女のすれ違いの悲恋(最終的にはハッピーエンド)と、九尾の狐が妖艶な女性に化けて日本を魔界にしようとするお話です。

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    狐のお話の方は、長い間上演されていなかったそうで、私は初めて拝見しました。これが、「foooo!」って叫びたくなるレベルで面白かったんですよ!私は文楽ファン歴20年以上なんですが、「文楽ってすごいなぁ!!」って改めて思いました。

    今日はご縁あって、文楽のかしらを担当されている村尾さんのお話をうかがうことができました。
    「かしら」は、文楽人形の首を作成したり、修理したり、お化粧したり(お人形も役者と同じで、役によってメイクを変える!)するお仕事です。

    かしらを作成するときには、ある程度作った段階で一旦保留して、忘れた頃にまた再開するのだそうです。
    理由は、毎日見ていると見慣れてしまって、歪みに気付かなくなってしまうから。
    久しぶりに取り出して改めて見ると、「ここが曲がってるな」とか「頬の高さが違うな」と気づく。そこで、その歪み直していくのだそうです。
    村尾さんは「歪み=我(が)」だとおっしゃっていました。
    「我」をどんどん削って無にしていく。魂は人形遣いさんが入れてくれるので、人形には「我」は必要ない。私たちは芸術家ではなくて職人なので、「我」は必要ない。と。

    表舞台の芸人さんだけではなくて、裏方さんもかっこいいのです!
    そりゃ、面白い舞台ができるはずです。

    かつて、私は文楽の床山さんになりたいと考えたことがありました。
    でもその夢は叶いませんでした。
    一方、このかっこいい職人さんである村尾さんがこのお仕事に出会われたきっかけのお話は凄まじかったです。偶然というより事故・・・といったほうがいいような、文楽の神様に無理やり引っ張ってこられた感がものすごい。

    今日は、良い舞台を観て、おもしろいお話が聞けました。
    作り上げられた物語も楽しいけど、人生で実際に起こる出来事はもっとおもしろいのかも。





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    盲導犬のこと

    今日、7月30日(日)は、新内合同研修演奏会でした。
    毎年夏と冬にある、新内協会主催の合同のおさらい会のようなものです。
    今回は、「籠釣瓶」の上調子を勉強させていただきました。

    この会があるときには、ほぼ1日、私は兄弟子と盲導犬ルーシーと行動します。
    会場の近くの駅までお迎えに行き、一緒にタクシーに乗り、舞台が終わった後はどこかで食事をします。

    犬と一緒に飲食店に入るってドキドキしますよね。「犬が他の人の食べ物を欲しがったりするんじゃないか?」って考えちゃいますが、それは杞憂です。盲導犬はちゃんと訓練されていて、食べ物に反応したりしません。
    というと、「すごく厳しい訓練に耐えて、本当は食べたいのに我慢してるんだ。かわいそうに。」と思われるかもしれません。
    が、実際は、盲導犬は子供の頃から決まった食べ物しか与えられていないので、私たちが食べているものを「食べ物」として認識していないんですね。

    さて、今日の舞台には、ルーシーの姉妹(どちらが姉か妹かは不明)で、やはり盲導犬のリルハちゃんが来てくれました!
    左がルーシー 右がリルハ。同じお母さんから同時に生まれた姉妹です。やっぱり似てますね。


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    再会の瞬間めちゃめちゃ喜んでました。一緒に暮らした期間は短いけど、お互い分かるみたいです。


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    盲導犬は、生後2ヶ月まで親子で暮らし、その後1歳までの10ヶ月間はパピーウォーカーと呼ばれる一般家庭のボランティアさんが愛情たっぷりに育てます。

    それから盲導犬としての訓練が始まります。
    「訓練」って、厳しそうでかわいそうな気がしちゃうんですが、「できないことを叱る」のではなく、「できたら褒める!」という作業の繰り返しなんだそうです。褒められることで、楽しくお仕事できるようになるんです。奥が深い。
    10歳くらいまで盲導犬として活躍した後は、引退した子を引き取って一緒に暮らすボランティアさんの元で余生を過ごします。

    もちろん、訓練をしても、盲導犬に向いていない子は別の道を歩むことになります。
    「キャリアチェンジ犬」と呼ばれるこの子たちを引き取って育てるボランティアさんもいらっしゃいます。


    ところで、私は常々、「次は猫に生まれ変わろう」と思っています。
    働かなくてよくて楽そうだから、という理由で。
    最終的には名人が使う三味線の皮になって一生を終えようという計画です。

    ですが、今日盲導犬の話を色々聞かせていただいて、「そんな一生もいいかもしれないなぁ」と思いました。
    誰かの役に立てる暮らし。グルメにはなれないけど、感謝されて愛される暮らし。
    悪くない人生(犬生?)な気がしています。





    第3回喜の音会「若木仇名草」の動画を公開しました


    5月4日に開催させていただきました、第3回喜の音会の「若木仇名草(わかきのあだなぐさ)」(通称:蘭蝶)の演奏をYouTubeにて公開いたしました。




    「若木仇名草」は、全て演奏しますと1時間以上かかりますが、今回は物語の前半部分のみの演奏です。
    ぜひご視聴くださいませ。



    昨年、友人と組んだ「うわん」というユニットで、「蘭蝶~縁切り~」という作品をつくり、第5回クォータースターコンテストに参加しました。
    こちらは物語のラストの部分です。
    真剣につくったつもりなんですが、大変シュールな仕上がりになりました。




    よろしければ、あわせてご視聴くださいませ。
    「うわん」のサイトには、蘭蝶の歌詞も掲載しております。
    http://uwan.gozaru.jp/rantyou.html


    2本続けてご覧いただきますと、だいたいストーリーがつながります。
    (女房お宮の話が本当はもう少し続くのですが、まぁ、だいたい。)


    「若木仇名草」は、夏のお話とされています。
    季節感のある描写はほとんどありませんが、最後の最後、蘭蝶と此糸が心中するところで「二人が命短夜の」と語られ、「夜が短い=夏」ということだそうです。
    歌舞伎では、蘭蝶は紗の羽織を着ています。


    今日は寄席の日

    今日、6月5日は何も予定がない日でした。
    本日最終日のミュシャ展へ行こうか、でも絶対混んでるだろうし、あきらめて家でゆっくりしようか。どうしようかな、と考えていたら、今日が「寄席の日」であることを知り、池袋演芸場へ行くことに。
    「寄席の日」は、毎年6月の第1月曜日で、この日は都内の各寄席の入場料が半額なのです!
    ちなみに池袋演芸場は昼夜入れ替えなしなので、体力さえあれば12時ごろから20時半まで、ずっと落語を聴いていることができます。
    途中外出して食事して、また席に戻るのもOKです。
    なんとゆるやかなルール。

    ベテランの師匠方のじっくり練った噺にしびれますが、若い芸人さんの勢いがある明るい高座もすごく楽しい!

    私が愛知の田舎から東京へ出て来て、12年。その時分、度々寄席に行っていました。
    そこから繋がってるんだなぁ、今の自分に。
    なんてことを思い出した一日。
    ありがとう寄席の日。



    「第3回喜の音会 縁でこそあれ末かけて」無事終演いたしました


    今年で3回目となりました私の勉強会「喜の音会」、無事に終演いたしました。
    おはこびくださったお客様、応援してくださった皆様に御礼を申し上げます。

    お天気と、豪華すぎる助演のお二人と、優しいお客様に恵まれまして、幸せな一日になりました。

    プログラムは、新内流しから。

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    鶴賀喜代寿郎さんが手ぬぐいを頭に乗せていらっしゃいますが、これ「吉原被り」と言います。
    かっこいいでしょ?
    喜代寿郎さんは、芸もお人柄も心から尊敬している大先輩でして、本来でしたらこのような小さな会で、しかも私の弾き語りの上調子をお願いできるような方ではありません。
    ですので、ご出演いただけることが決まった時にはびっくりしてしばらく震えが止まらなくなってしまいました。
    これはもう、神様からのプレゼントに違いない。素晴らしい上調子を弾いていただけるのに、自分の弾き語りがへなちょこではもったいない!すぐに上手くなんてなれないけど、自分のできる精一杯の演奏をしたい!!と思って、普段の何倍もお稽古しました。

    演目は、新内節の代表曲「蘭蝶」。
    シンプルで新内節の基礎が詰まった曲ですので、新内節のお稽古をする人はたいてい早い段階でこの曲を習います。
    が、シンプル故にごまかしがきかず、やればやるほど、知れば知るほどどんどん難しさを思い知らされる難曲です。
    今回、大先輩の上調子に助けていただいて勉強できたことは、一生の財産です。

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    休憩を挟みまして、2曲目は「不心底闇鮑 不心中の段」です。
    花組芝居の丸川敬之さんがゲスト出演してくださり、お芝居仕立てでご覧いただきました。
    こちらは、「遊女(小富)に心中をせまられた男(七兵衛)が、あれこれ言い訳をしてなんとか逃げようとする」という笑えるお話です。

    この曲は、現在は演奏される機会が少なくなってしまいましたが、れっきとした古典作品で、300年近く前につくられたものです。
    今回ご覧くださった方はきっと、「お芝居にするにあたって色々変えたのかな」とお思いになるでしょう。
    でも実は、私はひたすら師匠から習った通りに演奏しております。丸川さんと掛け合いになっても全く自分の間を崩しておりません。
    「二人の息がぴったりだった」とあるお客様が言ってくださいましたが、あれは丸川さんがものすごく上手く合わせてくださっているんです!すごい役者さんなんです!!

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    撮影した丸川さんがどれも面白くて、こちらに載せる写真を選ぶのが大変でした。
    絶対に憎めないかわいい七兵衛を演じられるキャラと技量をお持ちの役者さんは、世界中で丸川さんただ一人だと私は思っております。丸川さんに引き受けていただけて、やりたいと思ったことが存分にできて、とても幸せです。


    最後になりましたが、ご指導くださった師匠と、手弁当でスタッフを引き受けてくれた友人たちに心より感謝いたします。
    支えてくださった皆様、本当にありがとうございました。





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